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身元保証を考えるー法律と現場との開きー

最近は、あんしんすこやかセンターさんからの依頼で身元保証をする案件が増えて居ます。和讃の会で独自に契約をする場合も有りますが、和讃の会で任意後見を結ぶ場合、身元保証は第3者に頼みます。近く身元保証は法人に受けてもらう予定です。

さて、最近問題に成って居る事が有ります。身元保証は本当に身元保証人なのか?

一般的に、身元保証人とは連帯保証が当たり前です。保証をしている人の債務を同じように負うのが保証人です、では債務を支払うのは保証人ですから保証人が解りやすく言うと保証人の財布から弁済しなければ成りません。それが一般的な身元保証です。では我々身元保証人を生業としている業者はどうでしょうか?

各業者に依ってシステムはまちまちです。唯ほとんどのところが預り金を使って債務の支払いをします。つまり身元保証では無く、預り金信託契約?と言った方が正しいのでは無いのかと。最近声高にこの身元保証について言われる事が有りますが、

やはり議論は必要では無いかと思います。入会金、必要な経費は業者に依って違います。死後事務委任契約に重きを置いたところが多い気がします。何故でしょうか?

皆さん、生前事務委任は苦手な気がします。一番大切な事、今の状態を見て、何をするべきかです。自宅で暮らせるのか?施設に入れるのか?資金的に問題は無いのか?持病が有るのか、無いのか?かかりつけお医者さんが有るのか?緊急搬送された場合の対応は?

後見人が付いていない、付かない場合は、やはり代わりの人が必要に成ります。ケアマネやヘルパーさんでは、こうしてやったら良いと思っても、実際、入院、入居に関してはお手上げの状態です。まして本人に借金がある場合、サポートするのは非常に難しいと思います。

では誰がするのか?高齢独居と成った場合、身内と疎遠、独居の方は結構います。それで本人が意思がはっきりして居る場合、やはり多くは入院等でお世話をすることに成る身元保証人の役割は大きくなると思います。

病院側も、施設側も誰でも良いのです、万が一の時、債務の清算が出来れば、後見人も身元保証人も関係は有りません。言い方が違うかも知れませんが、後見人だろうが保証人だろうが、どうでも良いのです。債務の保証欄に記名押印さえあればよいのです。

話を戻しますが、我々身元保証を謳う業者は殆どが預り金を頂きます。飽くまで預り金ですが、万が一の時の死後事務委任に関して、そこから支払う事が多いです。余れば相続人に還しますし、足らなければ相続人に請求します。

この預り金が無い状態で、身元保証をすると言うのは我々が多大なリスクを負う事に成ります。それは身元保証では無いと言う意見は有りますが、生業と考えれば仕方が無いのではないでしょうか。

今、借金をお持ちの方の案件を2件抱えています、ひとりは施設を出て一人で生活を始めた方、ひとりは特養に入りたくても借金でどうしようも無い方、それぞれが事情を抱えて居ます。預り金も取れません、じゃどうするか?何とかしなければ成りません。お身内にそういう方が居たら放っておく訳には行かないでしょう。我々身元保証業者は契約した家族です、死後事務や相続や遺言も大切ですが、一番大切なのは生前事務委任契約です。そこでどこまで動くかどう動くかは一番大切な問題です。施設に入っていて夜中に病院に搬送された時、施設は搬送は出来ても入院手続きは出来ません。24時間対応できてこその契約身内だと考えます。

相続より、遺言より、亡くなった後の死後事務委任より、今の介護の進捗状況、どこの施設に入るか、資金は足りるのか、万が一の時、だれがお迎えに行くのか。大切なのは生前事務委任です。

昭和8年に制定された身元保証に関する法律、2020年に改定されましたが、それは雇用に関する事が主体で、高齢者支援とはかけ離れて居ます。

後見制度も1999年、それまでの禁治産者制度から改定されたものです。これもとても高齢者支援と言う事とはかけ離れた制度です。未だに身上監護と言う文字が使われて居ます、監護では無く看護だと思います。

身元保証人、単純に債務の保証だけでは無く、やる事は多岐に渡ります。生業と考えればあまり良い仕事では有りません。しかし、高齢化社会では、今の日本ではとても大切な問題です。去年、総務省の調査が有りました、厚生労働省が調査に動いていると聞きます。

業者に問題は有るのでしょう、しかし、制度自体も問題は有ると考えます。